教習所の教官さん(以後『教習指導員』と表記します)はどの程度給与をもらっているのか。

教習所の教官さんは『教習指導員』という国家資格に基づいた専門職です。
専門性の高い仕事である教習指導員ですが、給料相場がどれくらいかご存じですか?
教習指導員に関わらず、給料は地域や年齢でも変わってきます。
今の給与が相場と比べてどうなのか、参考になるよう、この記事では教習指導員の年収の相場感をご紹介します。
教習指導員の平均年収は293万円
引用元:求人ボックス給料ナビ
「求人ボックス」の「給料ナビ」によれば、教習指導員の平均年収は約293万円です。
中央値は300~356万円ほど。
国税庁「民間給与実態統計調査結果」による日本の平均年収は377万円(賞与除く)なので、平均年収よりは少し低い傾向にあります。

全体の給与幅は250〜600万円ほどで、勤続年数や会社内での役職(ポジション)によっても変わってきます。
ただし、繁忙期はもちろん、閑散期でも混雑しているような教習所は残業もあるため、そのような教習所で働く場合の年収はプラス100万~120万円くらいとなり、実際のところは年収は380万円~400万円ほどに届く場合が多いでしょう。
地域差によって給料に差はあるのか?
給料の地域差については、千葉県が336万円と最も高く、山形県が239万円と低いようです。
これは県の差ですので、地域としてどうなのか、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに調査してみました。
「各種学校・専修学校教員」の給与について調べたので、教習指導員以外の職種も含まれています。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに教習所転職のヒントが作成
年収は(きまって支給する現金給与額×12)+年間賞与その他特別給与額で求めました。
表の通り、関東地方や近畿地方で年収が高い傾向になり、東北地方が最も低い結果になりました。
これは地域別の最低賃金も関わっていそうです。
関東や近畿が平均年収を引き上げていますが、他地域はそこまで大きく違いがありません。
関東・近畿地方が含まれた平均にこだわって転職先を探してしまうと、なかなか条件にマッチした職場を見つけられない可能性があるので注意が必要です。
年齢別の平均は?
年齢別についても「賃金構造基本統計調査」をもとに調査してみました。
若いうちは給与が低いですが、30代後半から平均を上回るようです。
50代前半がピークで、そのあと緩やかに下がるのはほとんどのサラリーマンと同じ傾向です。
労働者の年齢分布は、30~40代の方が最も多く活躍しています。
定年が引き上げられたとはいえ、70代以上の方も活躍していることが印象的でした。
収入を上げるためにすべきことは?
教習指導員の平均年収について、地域や年齢の差を交えて解説しましたが、ご自身の給与と比較してみていかがでしたか。
相場より給与が低かった方の頭に浮かんだのは「転職」という言葉だと思います。
ですが、まず転職活動をする前に、少しでも収入を上げるための工夫をしてみてはいかがでしょうか。
年収を上げるためにすべきことは次の2つです。
- 1:指導員としての資格を増やす
- 2:管理職を目指す
今の給与に満足している方も、それ以上に収入を上げることができるかもしれないので参考にしてみてください。
1:指導員としての資格を増やす
教習できる免許が多ければ多いほど活躍できる機会は多いです。
普通免許だけでなく、中型免許、大型免許など、資格をどんどん増やすことで指導のバリエーションが増え、給与が上がる傾向があります。
年に1度のペースで資格を増やせば、給与も徐々に上がるでしょう。
また、資格が多いほど転職する際に有利でもあります。
もし大型免許の資格があれば、トラック運転手など教習指導員以外の仕事にも役立つので、転職の幅を広げるという意味でもおすすめです。
2:管理職を目指す
他の職種でもそうですが、管理職になることで給与を上げることができます。
教習指導員としてなら、技能検定員の資格を取得することから始めましょう。
教習所の校長と呼ばれる「管理者」は、都道府県によって多少の差はありますが、元警察関係者が務めていることが多いので、管理者になることは稀です。
ですから、「副管理者」と呼ばれる管理職を目指してキャリアを積み重ねていくことが目標になります。
高収入を目指せる教習所とは?
収入を上げる方法を説明しましたが、やはり他の教習所に転職したいという方は「教習生が多い」「教習料金が高い」「広告が控えめ」という3要素を基準に教習所選びをすると良いでしょう。
教習生が多い教習所
当然、閑古鳥が鳴いているような教習所よりも、教習生でにぎわっている教習所の方がおすすめです。
教習生が多いということは、それだけ利益を生んでいるということなので、指導員に還元できる給与も大きくなります。
常に忙しい状態にはなりますが、負担が高いぶん給与が高いことは確かです。
こうした教習所では「忙しくても丁寧に対応できること」「多くの教習をこなす体力があること」が求められるので、日ごろから気にかけておきましょう。
教習生が多い教習所を見分けるポイントは、閑散期です。
繁忙期はどこの教習所も忙しくなるので、判断基準には向きません。
春休みや夏休みなどの長期休暇を避けた閑散期に教習生がたくさん出入りしていれば、普段から人気が高い教習所であることがわかります。
儲かっている分、給与が高いと期待しても良いでしょう。
教習料金が高い教習所
教習料金が高い教習所は、当然利益を得ています。
利益を得ている分、給与が高いと期待できます。
一方で、料金が高い分、通常の教習所以上に気を使って働くことを求められることがあります。
たとえば「ほめちぎる教習所」などは独特なサービスですね。
教習生に対してより良いコミュニケーションを求められるので、職務を全うするだけの仕事スタイルでは務まらないでしょう。
料金に見合っただけの働きができるように気を付けましょう。
また、サービスに対して料金が高い教習所を選ぶほかに、給与が高い地域の教習所も狙い目です。
前項で紹介したように、関東・近畿地方は給与が高い傾向にあります。
働く地域にこだわりが無ければ、このエリアで就職するのも高収入につながるでしょう。
広告が控えめな教習所
教習生が多いことや教習料金が高くても、教習所の出費が激しければ給与に変化はありません。
そこで、広告が控えめな教習所をおすすめします。
なぜ広告が控えめな教習所が良いかというと、広告費用は教習所の出費の中でも大きいからです。

教習生が多くても広告費用で利益が出ていない場合も少なくないので、合宿免許のポータルサイトや看板、検索連動型広告などをチェックして、あまりにも広告が多い教習所は避けた方が無難です。
また、広告のほかに社長や役員が贅沢にお金を使っていないかもチェックしましょう。
なかなか見極めるのが難しいですが、1番わかりやすいポイントとして、教習所の社員専用駐車場に高級車が何台も停まっていたら要注意です。
購入費・維持費が高い高級車を買うことで利益を潰しているケースです。
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教習指導員のスキルを活かせる他業種と年収は?
教習指導員の給与相場が日本の平均年収と比べて低めであることはご紹介しましたが、類似職業はどうなのか比較したいと思います。
教習指導員のスキルを活かして働ける、次の3つの職業についてご紹介します。
- タクシー運転手
- バス運転手
- トラック運転手
タクシー運転手
タクシー運転手になるには普通二種免許が必要です。
東京・神奈川・大阪といった都市部で働くには、免許の他に地理試験に合格する必要があります。
タクシー運転手は「法人タクシー」と「個人タクシー」の2種類にわかれます。
「法人タクシー」はタクシー会社の社員として働くもので、「個人タクシー」は個人事業主として働きます。
「個人タクシー」として働くには、一定期間以上の乗務経験や無事故無違反であることなどが必要なので、まずは「法人タクシー」の運転手として働き経験を積みます。
「賃金構造基本統計調査」によれば、全国のタクシー運転者の『きまって支給する現金給与額』はおよそ28万円、『年間賞与その他特別給与額』はおよそ19万円、年収は約357万円です。
求人ボックス 給料ナビ ではタクシードライバーの平均年収を380万円としているので、調査対象によって結果が異なるようですね。
タクシー運転手は基本給が低めですが、売上の一部が歩合給なので頑張れば頑張るほど高収入を目指せることが特徴です。
実際、体力がある20代は、同じ年代の教習指導員よりも高収入です。
バス運転手
バス運転手になるには、普通免許と大型二種免許が必要です。
バスにも「路線バス」「観光バス」「高速バス」「送迎バス」の種類があります。
「賃金構造基本統計調査」によれば、全国のバス運転手の『きまって支給する現金給与額』はおよそ33万円、『年間賞与その他特別給与額』はおよそ68万円です。
教習指導員の年収相場272〜300万円と比べるとバス運転手は少し高収入です。
年齢による給与の差ですが、平均額を超えるのは40代後半からと少々遅いです。
これはバス運転手の平均年齢が50.7歳と高いことも影響しています。
トラック運転手
ネット通販が主流になりつつある時代、トラック運転手の需要は高いです。
トラック運転手に必要な資格は、荷物や働く運送会社によって変わってきます。
もちろん普通自動車免許は必要ですが、中型、大型、けん引免許などが必要です。
教習所以外で取得する資格は、玉掛作業者、フォークリフト運転技能者、危険物取扱者、運行管理者などがあります。
「賃金構造基本統計調査」によれば、全国のトラック運転手の『きまって支給する現金給与額』はおよそ35万円、『年間賞与その他特別給与額』はおよそ32万円です。
年齢による給与の差は、30代前半には平均額を超えます。
年齢が上がれば高収入になりやすい、ということはなく年齢に関わらず給与が一定であることが特徴です。
キャリアを積んで高収入を目指すことは望めないかもしれません。
教習指導員の給料相場は平均よりも低めだが、年収を上げる方法は沢山ある!
教習指導員の給料相場を、地域と年齢の差も交えて解説してきました。
ご自身の年収と比べていかがでしたでしょうか?
地域差、年齢差を埋めることは難しいですが、自分の工夫次第で給与を上げることはできます。
しかし自分の年齢や住んでいる地域の相場に比べて給与が低い場合は、転職も視野に入れて検討したほうがよさそうです。
転職に役立つ情報もご紹介したので、ぜひ役立ててみてください!