教習指導員はやりがいのある仕事ですが、労働時間や待遇の問題から退職を考える人も中にはいらっしゃいます。
しかし2021年現在、教習自指導員は人手不足が深刻になっているため、退職時に引き留められて中々退職できないというケースも多いでしょう。
では、双方が納得し、円満に教習所を退職するためにはどうすれば良いか。。。
今回は教習指導員が極力波風を立てず、教習所を円満に退職する方法を解説いたします。
教習指導員が教習所を円満に退職するための3STEP
教習指導員が教習所を円満に退職するための3つのステップは以下の通りです。
STEP2:1ヶ月前に退職願を提出する
STEP3:保険や税金などの手続きを行う
教習所を円満に退職するためには、前もって準備を進めておくことが大切です。
退職する意思が固まったら、退職を予定している月の2ヶ月前(可能であれば3ヶ月前)までに直属の上司に相談しましょう。
なお、上司に退職の意思を伝える時は曖昧な理由を述べるのではなく、はっきりとした決意があることが伝わるような伝え方を心がけてください。
避けるべき行動は、上司に相談することなく、いきなり退職願を提出することです。
いきなり退職願を提出することを避けるべき理由は、円満退職する上で退職の意思を示した日から退職日までには、引き継ぎ等を含めてやることが多くあるからです。
引き継ぎ、保険や税金などの手続きを中心に、本人や教習所側には様々な業務が発生します。
本人だけではなく教習所側も前もって準備ができるように計画し、教習所側の負担をなるべく抑えるように気遣いをすることが円満に退職するたの秘訣ですよ!
体調が悪い場合には、体調を最優先しよう!
もし、教習指導員としての仕事のストレスで体調を崩してしまっている場合は、円満に退職するための手順を踏まず、休職や退職をするもの1つの方法です。
特に精神的な症状は放っておくと徐々に深刻になり、より大きな病気を患ってしまうリスクがあります。
上記で紹介した退職までの3ステップはあくまで教習所を円満に退職するために好ましい手順で、法律で「絶対にこうしなければならない」と定められている手順ではありませんから、どうしてもステップを踏めない場合は致し方ないでしょう。
「食欲が湧かない」「気分が落ち込む」「体調が良くない」など、身体的・精神的な症状が出ている場合は上司に相談し、すぐに休職や退職の手続きをするのも1つの勇気です。
人手不足の教習所では退職を引き留められる可能性が高い
人手不足の教習所では、退職の意思を伝えた時に引き留められるケースもあるでしょう。
教習指導員が別の教習所へ転職する場合は、所属していた教習所の管理者から「解任届」を発行してもらい、転職先の教習所に「選任届」を提出してもらう必要があります。
解任届が発行されないと、転職しても教習指導員として働くことができません。
好ましくない管理者がいる職場の中には、「辞めるなら解任届は出さない」などと脅すようなケースも存在します。
退職時に解任届を発行してもらえないというトラブルが起きないように、退職する際は前もって計画・行動しましょう。
どんな理由で辞めている?教習指導員の主な5つの退職理由
書面上では、「一身上の都合」で退職することがほとんどですが、教習指導員が実際に退職に至る理由は他にあります。
では、教習指導員はどのような理由で退職しているのでしょうか。
教習指導員の主な退職理由は以下の5つです。
- 収入が低い
- 責任が重すぎる
- 勤務時間が長い
- 生徒の相手をするのが辛い
- 教習所に将来性がないと感じる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1、収入が低い
教習指導員の平均年収は250〜325万円です。
国税庁の調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は465万円となっているため、教習指導員の年収は平均よりも140万円ほど低いことが分かります。※1
しかし、中には昇給制度はあるものの、ボーナスがない教習所も多く、手取りが20万円を切るケースも中にはあります。
ボーナスや収入は教習所によって異なりますが、業務内容に対して収入が低いという理由で退職を決意する人も中には存在するのです。
2、責任が重い
教習生が運転している車で事故を起こした場合、ドライバーである教習生が責任を負うのは免許の取得前であっても変わりません。
しかし、教習所の方から「対策できる余地はなかったのか」などと問われることは避けられません。
「よそ見をしていた」「居眠りをしていた」など教習指導員側に落ち度がない限り法的な責任は問わせませんが、運転に慣れていない教習生を指導する立場として、事故や危険を回避する義務があることは確かです。
教習生の安全に対する義務や、事故や危険を回避しなければいけない責任感が重い点が教習指導員を退職する理由の1つとなっています。
3、勤務時間が長い
教習所は、学生が夏休みや春休みで多く入校する時期である「繁忙期」とそれ以外の比較的入校者が少ない時期である「閑散期」が存在します。
教習指導員の勤務時間が特に長くなるのは、入校者が多い繁忙期です。
教習所によっても異なりますが、繁忙期は朝9時頃〜21時頃までの勤務が5日以上続くケースも少なくありません。
閑散期は繁忙期よりも休みが多いものの、夜間の教習や営業業務があるため1日の勤務時間は他の職種よりも長いのが現状です。
長時間勤務が続いて身体的にも精神的にも疲労が蓄積してしまい、退職するというケースが見られます。
4、生徒の相手をするのが辛い
教習生の中には、前向きに教習を受ける人もいますが、やる気がなかったり、反抗的な態度をとる人が少なくありません。
反抗的な態度をとる教習生の中には、少し厳しい言い方になっただけでクレームを入れる人や、SNSに悪口を投稿する人が見受けられます。
クレームが入ると教習所側から指導を受けることになるため、大きなストレスを抱えてしまいがちです。
また、教習生の中には理解力が乏しい人、言葉が全く通じない外国人など様々な人がいます。
教習指導員も1人の人間なので、どの教習生にも平等に対応するのはとても大変なことです。
上記のような理由から、「生徒の相手をするのが辛い」と感じ、辞めたいと思ってしまう教習指導員が多くいます。
5、教習所に将来性がないと感じる
少子高齢化により、新規で免許を取得する主な層である20代の人口が減っていくため、今後ますます教習生が減っていくことが予想されます。
入校者層が減少すると、近隣の教習所との競争によって教習料金が安くなるため、教習指導員の給与や待遇は悪くなっていく一方です。
上記のような理由から、教習所には将来性がないと感じ、辞めてしまう方が多くいます。
教習指導員のスキルや資格が活かせるおすすめの職業
教習指導員で培ったスキルや資格は、他の職業でも活かすことが可能です。
教習指導員は、コミュニケーションや指導、運転に関するスキル、教習指導員資格など、運転や指導に関する様々な能力を身につけています。
教習指導員の仕事で身につけたスキルや資格は以下のような職業で活かすことが可能です。
トラックの運転手
大型自動車免許を取得している方であれば、トラックの運転手はスキルや資格を活かせる職業としておすすめです。
大型自動車の運転を指導してきた経験は実際の運転に活すことができるだけではなく、雇用側からの信頼を獲得することにも繋がります。
トラック運転手の業務は基本的に1人で行動することになるため、煩わしい人間関係のトラブルが少ない点は、色々な教習生の対応を行う教習指導員との違いです。
トラック運転手には労働時間が長いというデメリットがありますが、近年多発している交通事故対策により待遇が改善されてきています。
運転技術を活かしたい方や人間関係のトラブルを避けたいという方におすすめの職種です。
タクシーの運転手
第二種免許を持っている方はタクシーの運転手への転職もおすすめです。
運転技術や交通規則に関する知識を活かすことができるだけでなく、トラック運転手と同様に1人で行動するため、職場内での人間関係でストレスを抱えることはほとんどありません。
また、タクシーの給与制度には「歩合給」というものがあります。
基本給に歩合給が加算されるケースや完全歩合制のケースまで様々ですが、歩合給という制度があるおかげで20代〜30代でもしっかりと稼ぎやすい仕組みになっています。
そして、教習指導員と異なる点は将来性がある点です。
地方では人口減少によりタクシー業界は衰退していますが、人口が比較的安定している首都圏では、これからタクシーの利用者層である高齢者が増えることが予想されます。
20代〜30代で初めからしっかりと稼ぎたいという方や将来性がある職種に就きたいという方に向いている職種です。

ディーラーの営業
教習所で様々なな車種を運転した経験は、ディーラーの営業職として個人や法人の顧客を対応する際に活かすことが可能です。
運転のしやすさ、操作方法、運転する時に注意すべき点の説明時は、様々な車種を運転してきた経験から出るアドバイスがあるはずです。
ディーラーの営業は、普通免許が必須で運転技術も問われるため、今まで教習指導員として培ってきた資格やスキルを活かしたい方におすすめです。
事務職
実は事務職も教習指導員のスキルが活かせる職業です。
教習指導員の仕事内容は生徒への指導だけでなく、業務報告書やデータ入力などの事務作業も含まれますので、基本的な事務作業を行った事がある教習指導員は事務職へのジョブチェンジもそこまで難しくは無いでしょう。
事務職員のメリットは、定時に帰りやすい点です。
教習指導員の場合、夜間の教習が入っていると残業が必須ですが、事務職の場合は自分で作業をスケジュールし、帰宅時間に合わせて業務を進めることができます。
ですから、残業したくない方や子育てをしている方にとっては良い職業といえるでしょう。
円満に退職するためには事前の準備が大切!
自分のことだけを考えて行動するのではなく、教習所側の負担も考えて行動することが円満な退職に繋がります。
退職の意思が固まったら退職予定月の3ヶ月前までに直属の上司に伝え、1ヶ月前に退職願を提出しましょう。
事前に準備や計画をしておくことで、本人だけでなく教習所側も退職に向けた手続きを余裕を持って進めることができます。
職場環境が嫌で辞める場合もしっかりと引き継ぎをし、退職したあとも滞りなく業務が進められるように配慮をしましょう。
教習所側の負担をなるべく抑えるような気遣いを心がけることが円満な退職への近道です。
※1:国税庁「1 平均給与」